Project Story

前例のないスピードナット挿入機

2018年05月
  • 河合 達也(46歳)

    木曽川工場
    工場長

    入社7年目、以前より加工機を製作しておりキャリアは15年以上。
    現在は主に設計を担当しているが、部品加工、組付け、シーケンスプログラムなど、一通りの作業は出来るオールラウンダー。
  • 勝又 俊一(41歳)

    木曽川工場
    製造部チームリーダー

    入社10年目、木曽川工場創業時からの古株で、以前は鍛造屋で勤務。部品製作・組付けの責任者として人員の割り振りや教育を指導している。設計以外の全ての工程をマスターしている。
  • 日比野 将章(31歳)

    木曽川工場
    設計担当

    未経験入社2年目にして設計のエース。まだまだミスが目立つが、新しい発想で技術の進歩に貢献している。独り言が多い。

複雑な設計に、2年目 日比野が挑む

「インパネダクトのスピードナット挿入機を作ってもらえないか」

関東製作所に依頼されたのは、車の部品であるインパネダクトに、自動でスピードナットを取り付ける機械である。
ソリッドPPダクトであれば、これまでに製作した実績があったが、発泡PPダクトのような柔らかい素材へのスピードナット挿入機は前例がない。
さらに今回は「同時に10ヵ所のスピードナットを挿入する」という、より高度な設備だ。一筋縄ではいかないだろう。

しかし、成功すれば組付け工数が大幅に削減できる……。お客様からの期待も大きなものだった。

設計は誰が担当しようか……。

そこで「面白そう、僕にやらせてほしい」と、手を挙げたのが入社2年目の日比野だ。

日比野は製造業に関わってまだ2年目。
正直、荷が重いかとも思ったが、本人が乗り気だったため、まずは任せてみることにした。
日比野が、はじめに検証したのは「発泡PPダクトでもスピードナット挿入の自動化ができるのか?」ということだ。
まずは1ユニットのみ設計・製作し、簡易のテスト機を組み上げ、テストを繰り返す。

だが、発泡PPダクトでは、ナットの角がすぐに刺さってしまったり、一旦奥まで挿入されたものが戻って外れそうになったりとなかなかうまくいかない。

「ソリッドPPダクトのように表面が硬くて滑りやすいものなら、スピードナットの挿入もスムーズにいくのに……」
悩んだ日比野は、製造部のチームリーダーである勝又に相談することにした。

設計だけでなく、製造部の現場の知恵を借りることが必要だと考えたのである。
組付けのリーダー・勝又と相談する中で、2人は、2つのポイントが重要だと気づく。

まず、スピードナット挿入部を上下からしっかりと固定し、完全に動かない状態にすること。
そして、スピードナットがはまる板の部分と、スピードナットを推す機構の位置・角度を正確に合わせること。

この2つを注意してさらに調整を重ねた結果、難しいと思われたスピードナット挿入を自動化する仕組みが完成した。
テスト機での成功を受けて、いよいよ次は本番。10ヵ所挿入する機械の設計である。
ユニット同士の干渉に悩みながらもなんとか設計を仕上げ、部品製作・組付けの工程へと移った。

経験から目で見えないところまで判断し、重ねるトライ

組付け後調整では、勝又が、シックネスゲージを使いながら位置や角度を合わせていく。
テスト機を動かしたときの感覚と、これまでの長年の経験から、直接目で見えないところも周りの状況から判断しての調整。

10ヵ所のスピードナットは見事に挿入された。

何度かトライを続けて、製品のバラつきから挿入できない部分をその都度修正し、どんな製品が来た場合も問題なく動作するよう調整を終えた。
最後はいよいよお客様立会いだ。失敗できない場面でもある。

無事に10ヵ所のスピードナットが挿入され、拍手が起こる。
使い勝手の点でいくつか修正要望があったものの、お客様にも大満足いただける結果となった。

難易度の高い設計は日比野にとっても大きな自信になり、それを支えた製造部リーダー・勝又をはじめとする他のスタッフとの絆も深まる出来事であった。

知っておきたい用語